最後にしたいと思った最初の人





もう泣きたくなかったし、好きな人が泣いている姿を見るのも嫌だった。



そんな時に現れた阿部くんは、「幸せにするよ。」と断言してくれた。彼が2D.2D.オーラスを始め、様々な媒体で言及するように、アイドルはヒーローだ。わたしにとって阿部くんは紛れもなくわたしを掬い上げてくれたヒーローに違いなかった。


アイドルで散々泣いた先でアイドルに救われてしまうのだからつくづくわたしというオタクというのは単純な生き物だと思う。




誤解を恐れずに言うと、阿部くんを好きになる過程でぼんやりと「この人はわたしを不幸にしなさそうだなぁ」と思った。オタクを不幸にするアイドルなんてもちろんいないはずだし、決してSnowManの他のメンバーを好きになったら幸せじゃないというわけではなく、あくまでわたしの精神衛生上の話である。これは個人の感覚であり、ざっくり言うと相性が良いとも言える。



わたしはアイドルっぽいアイドルが好きだ。



アイドルはみんなアイドルであるので、アイドルっぽくないアイドルとは?と聞かれるととても困るのだけれど、阿部くんのことを知っている人ならわかってくれると思う。阿部くんはアイドルっぽいアイドルだ。


阿部くんを好きになったと言ったとき、今までのわたしを知っている友人は皆口を揃えて「わかる」と言う。一度も意外がられたことはない。



実際自分でも阿部担でいることがあまりにも自然体すぎて本当に心地良いのである。





2D.2D.の配信をみて、どうにも涙が止まらなくて、メンバーの涙をみてさらに泣いて。涙で滲む視界の中には微笑む阿部くんがいて、こういうとき、阿部くんって笑顔で立っていられる人なんだな、と知った。

きっとこの先、コンサートの挨拶でJr.時代の話をすることなんてもう殆ど無くて、周年を重なるごとにそういった話題に触れられることもなくなるのだと思う。人一倍長かった、人生の半分以上を占めるJr.時代の話をすることなく笑顔で将来の話をする阿部くんの姿に、全てを投げ捨ててこの人だけを見ていたいと思ってしまった。「伝説の第一歩です」「この場に居合わせたことを誇らせてみせます」「この手は離さないでください」阿部くんのくれる言葉はあまりにも力強くて、説得力があって、絶対も永遠もないって痛いほど知っているはずなのに全てを懸けてみたいと心から感じた。彼の見つめるカメラの奥には空っぽの客席しかないはずなのに、阿部くんの瞳には熱が宿っていた。




クイズ番組でずっと見ていたはずの阿部くんが正式に(?)担当となり、実際にアイドルとしての阿部くんをこの目で見れたのは2019-2020のカウコン一度きりで、あとは何もかもが画面越しだけど、この1年間とにかく阿部くんに心を奪われ続けた。


「もっと早く出会いたかった」はオタクの口癖あるあるだと思うけど、わたしは阿部くんが自分がアイドルとして生き残るための武器で獲得したクイズ番組をきっかけに出来たのは案外悪くないな、とも思う。もちろん阿部くんがいちばん輝くのはステージの上だけど、阿部くんの個性が最も輝くクイズ番組で阿部くんに出会えたことが本当に嬉しかった。



きっとこの先いろんなことがあるのだろうけど、わたしは自ら阿部くんの手を離す気なんて微塵もなくて、そんなことを言ったら阿部くんはいつもみたいちょっと眉毛を下げて笑ってくれると思うし阿部くんこそこの手を離さないでね、って言ったらきっと「離さないよ。」ってこの手に力を込めてくれるんじゃないかな。